2019年03月の税務ニュース
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平成31年度 税制改正大綱(その3)
~ 結婚・子育て資金の一括贈与非課税制度の見直し ~
平成31年度税制改正大綱では、先月ご紹介した教育資金の一括贈与と合わせて、結婚・子育て資金の一括贈与を受けた場合の贈与税の非課税制度についても適用期限の延長と要件の見直しが示されています。今月は、結婚・子育て資金の一括贈与非課税制度の改正点と概要をご紹介します。
(1)改正内容
「1」適用期限
平成31年(2019年)3月31日までの贈与 → 2年延長(2021年3月31日までの贈与)
「2」受贈者(贈与を受ける人)の所得制限
現在は受贈者の所得に制限はありませんが、改正により信託等をする年の前年の合計所得金額が1,000万円超の場合は、適用を受けることができないこととなります。
(平成31年4月1日以後に信託等により取得する信託受益権等に係る贈与税について適用)
(2)制度の概要
「1」結婚・子育て資金の一括贈与時の非課税
金融機関等との一定の契約に基づき、20歳以上50歳未満の子や孫(受贈者)が父母や祖父母から結婚・子育て資金の贈与を受けた場合には、受贈者1人につき1,000万円※までは贈与税が非課税となる制度です。
※結婚関係で支払われるものについては300万円が限度。
「2」結婚・子育て資金管理契約の終了時の課税
次のイ又はロに該当したことにより結婚・子育て資金口座に係る契約が終了した場合に、贈与を受けた額から結婚・子育て資金として支出した額を控除した残額がある時は、その残額はその契約終了時に贈与があったこととされます。
イ 受贈者が50歳に達したこと
ロ 結婚・子育て資金管理口座の残高がゼロになり契約終了の合意があったこと
受贈者の死亡により結婚・子育て資金管理契約が終了した場合には、その残額は贈与税の課税価格に算入されません。
「3」結婚・子育て資金管理契約期間中に贈与者が死亡した場合
結婚・子育て資金管理契約終了の日までの間に贈与者が死亡した場合には、その贈与者の死亡の日における残額については、受贈者が贈与者から相続又は遺贈により取得したものとみなして、その贈与者の死亡に係る相続税の課税価格に加算します。ただし、この場合において、その残額に対応する相続税額については相続税額の2割加算の対象にはなりません。
「4」結婚・子育て資金の範囲
イ 結婚に際して支出する次のような金銭(300万円が限度となるもの)
挙式費用、家賃、敷金等の新居費用、転居費用など
ロ 妊娠、出産及び育児に要する次のような金銭
分べん費、産後ケアに要する費用、不妊治療に要する費用、子の保育料など