2021年08月の税務ニュース
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消費税のインボイス制度について(1)
令和元年10月1日より消費税率が8%から10%に引き上げられ、それに伴い飲食品や新聞などを対象とした軽減税率制度が導入されました。軽減税率制度により10%・8%と複数の消費税率が混在するため、仕入税額控除の要件として税率毎に区分した区分記載請求書の発行が求められることとなりました。日常の経理処理実務に大きな影響を及ぼしたことは記憶に新しいと思います。
この消費税の仕入税額控除制度において、区分記載請求書に代わって令和5年10月1日から適格請求書(いわゆるインボイス)等保存方式が導入されることとなっています。
また適格請求書発行事業者としての登録も令和3年10月1日からスタートします。適格請求書等保存方式が導入される令和5年10月1日に登録を受けるためには令和5年3月31日までに登録申請をする必要があります。今回はインボイス制度の概要についてご説明します。
1)適格請求書(インボイス)制度とは
インボイス制度は、所定の要件を記載した請求書や納品書を発行・保存するという制度です。インボイス制度実施後は、例えば仕入れを行う場合などに「いつ、どの事業者から、何の商品を購入して、金額と消費税額がそれぞれいくらだったのか」を明確にしてインボイス(適格請求書)として残しておく必要があります。
売手である登録事業者は、買手である取引相手から求められたときは、適格請求書(インボイス)を交付しなければなりません。また、交付した適格請求書(インボイス)の写しを保存しておく必要があります。買手は仕入税額控除の適用を受けるために、原則として取引相手である登録事業者から交付を受けた適格請求書(インボイス)の保存等が必要となります。
※買手は、自らが作成した仕入明細書等のうち、一定の事項(適格請求書に記載が必要な事項)が記載され取引相手の確認を受けたものを保存することで、仕入税額控除の適用を受けることもできます。
2)適格請求書(インボイス)とは
売手が買手に対して、正確な適用税率や消費税額等を伝えるものです。具体的には、現行の区分記載請求書に「登録番号」「適用税率及び消費税額等」の記載が追加された請求書等の通称になります。なお、インボイスの様式は法令又は通達等で定められておらず、必要な事項が記載された書類であれば請求書、領収書、納品書といった名称を問わず、手書きであってもインボイスに該当します。
a | 適格請求書発行事業者の氏名又は名称及び登録番号 |
b | 課税資産の譲渡等を行った年月日 |
c | 課税資産の譲渡等の内容(軽減税率の対象である場合にはその旨) |
d | 税抜価額又は税込価額を税率ごとに区分して合計した金額及び適用税率 |
e | 税率ごとに区分した消費税額等 |
f | 書類の交付を受ける事業者の氏名又は名称 |
*不特定多数の者に対して販売等を行う小売業等に係る取引については、インボイスに代えて、一定の記載事項が省略された適格簡易請求書(いわゆる簡易インボイス)を交付することができます。