2022年03月の税務ニュース
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退職所得について
退職金は長年の勤労に対する給与の後払いとして一時に支払われるものであることから、退職所得控除が差し引かれたり、他の所得と切り離して課税されるなど、税負担が軽くなるように配慮されています。今月は退職手当等の範囲や税額の計算の基礎となる課税退職所得金額についてご紹介します。
1.退職所得となるもの
(1)原則
退職手当等とは退職したことに基因して一時に支払われることとなった給与をいいます。退職に際し又は退職後に支払われる給与で、支払金額の計算基準等からみて、他の引き続き勤務している人に支払われる賞与等と同性質であるものは、退職所得ではなく給与所得とされます。
(2)退職手当等とみなされるもの
引き続き勤務する人に支払われるもののうち以下については退職手当等とみなされます。ただし、その後に支払われる退職手当等の計算上、今回の退職手当等の基礎となっ た勤続期間を一切加味しない条件の下に支払われるものに限ります。
・使用人から役員になった人に対し、使用人であった勤続期間に対する退職手当等として支払われ るもの
・定年に達した後引き続き勤務する使用人に対して、定年に達する前の勤続期間に対する退職手当等として支払われるもの
・労働協約等の改正により、いわゆる定年を延長した場合に、旧定年(延長前の定年)に達した使用人に対し、旧定年に達する前の勤続期間に対する退職手当等として支払われるもので、その支給をすることにつき相当の理由があると認められるもの
※相当の理由とは、例えば旧定年を迎えたときに退職金が支給されることを前提にマイホームローンや子の教育ローンの返済を計画する等の生活設計をしており、定年の延長により退職金の支給が延長され、不都合が生じるなど
2. 退職所得の計算
退職所得の金額は、原則として、次のように計算します。
(退職金の額 - 退職所得控除額)× 1/2 = 課税退職所得金額
【退職所得控除額】
注1:勤続年数に1年未満の端数があるときは、たとえ1日でも1年として計算します。
注2:上記の算式によって計算した金額が80万円未満の場合は、退職所得控除額は80万円になります。
注3:障害者となったことに直接基因して退職した場合は、上記により計算した金額に、100万円を加算した金額が退職所得控除額です。
3. 退職所得の計算の例外
(1)勤続年数が5年以下である役員等への退職手当
退職金の額から退職所得控除額を差し引いた残額が課税退職所得金額となります。
1/2の適用はありません。
(2)勤続年数が5年以下の従業員への退職手当
令和4年1月以後に支払われる退職金については、退職金の額から退職所得控除額を差し引いた残額の300万円以下については1/2が課税退職所得金額になり、300万円を超える部分については全額が課税退職所得金額になります。