2022年07月の税務ニュース
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民法の改正(成年年齢引き下げ)に伴う税金への影響について
民法の改正によって、2022年4月から成人年齢(成年年齢)が20歳から引き下げられ、18歳で成人となりました。今回はその改正による税金への影響について解説します。
1.相続税・贈与税の変更点
相続税・贈与税については今年4月1日以降からは、以下の変更点が適用されます。
①未成年者控除(未成年者の税額控除)
未成年者控除は、相続で財産を引き継ぐ人が未成年の場合、相続税を差し引くことができる制度です。財産を引き継ぐ未成年者が満20歳になるまでの年数1年につき10万円を相続税の金額から差し引くことができます。しかし、2022年4月以降は満20歳が「満18歳」に変わりましたので、控除額が2年分(20万円)少なくなることになりました。実質的に負担が増えることとなりました。
②相続時精算課税
相続時精算課税は、60歳以上の父母・祖父母から子や孫が財産をもらったときに利用できる贈与の方法です。相続時精算課税を利用すると(相続時に精算する必要はありますが)、累計2,500万円までは贈与時に税金がかかりません。この相続時精算課税を選ぶことができる年齢がこれまでの「20歳以上」から「18歳以上」となりました。
③贈与税の税率の特例
贈与税の税率には「一般税率」と、それよりも税率の低い「特例税率」の2種類があります。このうち祖父母や父母(直系尊属)から受けた贈与には、特例税率が適用されます。この特例が適用される年齢が「20歳以上」から「18歳以上」と変更されますので、これまでよりも2年早く特例税率を使用した贈与ができるようになりました。
④結婚・子育て資金の一括贈与の特例
結婚・子育て資金の一括贈与の特例は、父母や祖父母から結婚・子育て・育児のためのお金の贈与を受ける場合、1,000万円まで非課税で贈与が受けられる制度です。対象となるのは「20歳以上50歳未満の子や孫」でしたが、「18歳以上50歳未満」となりました。なお、この特例が利用できるのは、現時点では、2023年3月31日までとなっています。
⑤住宅取得資金贈与の特例
結婚・子育て資金と同様、父母や祖父母から住宅を新築・取得・増改築するためのお金の贈与を受ける場合、500万円〜1,500万円(2022年より上限1,000万円)まで非課税で贈与が受けられます。対象は「20歳以上の子や孫」でしたが、これについても「18歳以上の子や孫」となりました。なお、この特例が利用できるのは、現時点では2023年12月31日までとなっています。
2.住民税への影響
住民税は、居住している都道府県・市区町村に納める税金です。未成年者でも、一定以上の所得があれば住民税を納める必要がありますが、未成年者の場合は「前年の合計所得金額が135万円以下(給与収入のみの場合、年収204.4万円未満)ならば非課税」となっています。
2022年4月からはこの「未成年者」が20歳から18歳に変更されました。
賦課期日(毎年1月1日)現在の年齢で判定し、令和5年度課税から適用されます。18歳・19歳でも年収が100万円(地域により異なる)を超えると住民税がかかるようになります。