2022年11月の税務ニュース
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消費税のインボイス制度について(4)
令和5年10月1日から導入される適格請求書(いわゆるインボイス)等保存方式について、前回に引き続いて、今回は買手側(仕入税額控除の要件)の留意点についてご説明します。
(1)仕入税額控除の要件
①一定の事項を記載した帳簿及び適格請求書などの請求書等の保存が仕入税額控除の要件となります。課税期間の末日の翌日から2月を経過した日から7年間保存しなくてはなりません。
②免税事業者や消費者など、適格請求書発行事業者以外の者から行った課税仕入れは、原則として仕入税額控除の適用を受けることができません。
ただし、一定の期間は、一定の要件のもと、仕入れ税額相当額の一定の割合を、仕入税額として控除できる経過措置が設けられます。
(2)保存が必要となる請求書の範囲
仕入税額控除の要件として保存が必要となる請求書等には、以下のものが含まれます。
①売手が交付する適格請求書又は適格簡易請求書
②買手が作成する仕入明細書等
(適格請求書の記載事項が記載されており、相手方の確認を受けたものに限ります)
③卸売市場において委託を受けて卸売の業務として行われる生鮮食料品等の譲渡及び農業協同組合等が委託を受けて行う農林水産物の譲渡について、受託者から交付を受ける一定の書類
④①から③の書類に係る電磁的記録
(3)帳簿のみ保存の特例を適用する場合の帳簿記載事項等
適格請求書などの請求書等の交付を受けることが困難な取引は、帳簿のみの保存で仕入税額控除が認められます。その場合は、帳簿に下記の内容が記載されていることが必要です。
①課税仕入れの相手方の氏名又は名称
②取引年月日
③取引内容(軽減税率対象の場合、その旨)
④対価の額
⑤課税仕入れの相手方の住所又は所在地
⑥特例の対象となる旨
※公共交通機関特例の対象事業者等、国税庁長官が指定する者に係る者である場合は記載不要
適格請求書の交付義務が免除される取引の他、入場券等が回収されるもの、古物商や質屋等が仕入れる古物、質物等、従業員等に支給する出張旅費等が特例に該当します。
(4)現行法(区分記載請求書等保存方式)との相違点
適格請求書等保存方式開始後は、
①「3万円未満の課税仕入れ」及び「請求書等の交付を受けなかったことにつきやむを得ない理由があるとき」に一定の事項を記載した帳簿の保存のみでの仕入税額控除は認められません。
②仕入先から交付された請求書等に「軽減税率の対象品目である旨」や「税率ごとに区分して合計した税込対価の額」の記載がないときは、これらの項目に限っての交付を受けた事業者自らの追記が出来なくなります。