2023年03月の税務ニュース
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令和5年度税制改正大綱(3)
今回は、令和5年度の税制改正大綱でのインボイス制度の変更点・経過措置をご紹介します。
1.登録申請期限の変更
令和5年10月1日のインボイス制度施行開始日よりインボイス制度の登録を受けるためには、令和5年3月31日までに登録申請が必要でした。これが令和5年9月30日までに登録申請すれば、10月1日からインボイス制度に登録されることになりました。
2.激変緩和措置
売上が1,000万円以下などのために免税事業者だった事業者がインボイス発行事業者になった場合には、売上に対する消費税額の2割のみの納税とするものです。納税に関しては、原則課税で納税するか、簡易課税で納税するかを選択しなければならないのですが、この2割特例がもう一つの選択肢として加わりました。2割特例を選択することで節税になりますが、事業によっては、簡易課税を選択した方が有利な場合もありますので検討が必要です。2割特例を選択する場合には、事前の届出は不要です。
この2割特例については、インボイス制度開始前(令和5年10月1日より前)から課税事業者を選択している小規模事業者は対象外です。
適用期間は、令和5年10月1日から令和8年9月30日を含む課税期間です。個人事業者は、令和5年10月から令和8年分の申告まで対象です。
3.1万円未満の仕入ならインボイス不要(少額特例)
年間の課税売上高が1億円以下、あるいは特定期間における課税売上高が5,000万円以下の事業者であれば、1万円未満の仕入れについては、インボイスがなくても仕入税額控除ができる経過措置が設けられました。適用期間は、令和5年10月1日から令和11年9月30日までです。
4.1万円未満の適格返還請求書は必要なし
返還などに係る税込み価格が1万円未満である場合には、この「適格返還請求書」の交付は不要です。経過措置でなく、恒久的な変更です。
5.補助金などの変更点
免税事業者がインボイス制度に登録した場合、持続化補助金の補助上限額が一律50万円加算されます。
IT導入補助金(デジタル化基盤導入類型)の補助下限額が撤廃され、安価な会計ソフトの導入にも補助金の申請が可能となります。