2023年06月の税務ニュース
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遺言書について(その2)
前回の自筆証書遺言と公正証書遺言に引き続き、秘密証書遺言と遺言書を作成することによるメリットとデメリットについて紹介させていただきます。
【1】秘密証書遺言
秘密証書遺言とは遺言者が作成した証書を封筒に入れ封印した後、公証役場で遺言書の「存在」のみを証明してもらうというものです。こちらはデメリットの方が多いことからあまり利用されていません。
(1)メリット
①自分ひとりで手軽に作成できる
②代筆やパソコンで作成したものに署名と押印したものでも認められる
③生前に遺言書の内容を知られることがない
(2)デメリット
①内容や形式に不備があり無効になる可能性がある
②証人が2人必要である
③公証役場への手数料がかかる(定額11,000円)
④公証役場での手続き後は遺言書を個人で管理する必要があり紛失の危険性がある
⑤遺言書は家庭裁判所の検認を受ける必要がある
【2】遺言書を作成することによるメリットとデメリット
(1)メリット
①自分の意思で遺産の分割を決めることができる
②相続人以外の人や法人などへ遺産を遺すことができる
③相続人間の遺産をめぐるトラブルを避けることができる
④相続手続きの負担を軽減できる
⑤法的な効果は認められない事項(「お母さんのことを頼む」「兄弟仲良く」「感謝の気持ち」など)も書面にして親族に想いを伝えることができる
(2)デメリット
①遺留分などに配慮して遺産の分割を決める必要がある
②遺言の内容によっては親族間の紛争を誘発する可能性がある
遺言書は死後、自分の財産の分配方法を決めることが出来る有益な方法である一方、相続争いの元となる危険性もあります。作成にはくれぐれも残された遺族の方々への配慮をお忘れないように。
※自筆証書遺言書保管制度については次回ご紹介します。