2015年06月の税務ニュース
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金融商品に関する税金について(その1)
1.現行の金融商品に対する課税制度
金融商品にかかる税金は、下記のように「総合課税」「申告分離課税」「源泉分離課税」の大きく3つに分類されます。
A.総合課税 | 年間の所得金額を他の所得と合計して所得税・住民税を計算する制度 |
累進税率
所得税5~45% |
確定申告が必要 |
B.申告分離課税 | 年間の所得金額を他の所得とは別にして所得税・住民税を計算する制度 |
一律20%
所得税15% |
確定申告が必要 *源泉徴収ありの特定口座の場合は不要 |
C.源泉分離課税 | 利息や分配金などの支払を受取るときに一定の税金が源泉徴収されて納税が完結する制度 |
一律20%
所得税15% |
確定申告は不要 又はできない |
*上記以外に復興特別所得税が所得税額の0.21%に相当する税額も平成49年まで課税されます。
近年、さまざまな金融派生商品等が販売され、金融商品の課税関係も複雑化していますが、ここでは一般的な金融商品について、上記①~③のどの課税方法に分類されるか整理してみました。
金融商品の種類等 | 所得の分類 | 課税方法 | その他 | ||
---|---|---|---|---|---|
株 式 |
上場株式 | 売却益 | 譲渡所得 | B | 損失は3年間繰越可 |
配当金 | 配当所得 | A・B・C | Bを選べば上場株式等の譲渡損と損益通算可 | ||
投 資 信 託 |
株式投資信託 | 売却・解約益 償還差益 |
譲渡所得 | B | 損失は3年間繰越可 |
分配金 | 配当所得 | A・B・C | Bを選べば上場株式等の譲渡損と損益通算可 | ||
公社債投資 信託 |
解約益 償還差益 |
利子所得 | C | ||
売却益 | 非課税 | - | |||
分配金 | 利子所得 | C | |||
外貨建てMMF | 分配金 | 利子所得 | C | ||
売却益 | 非課税 | - | |||
債 権 |
利付国債 | 利子 | 利子所得 | C | |
償還差益 | 雑所得 | A | |||
売却益 | 非課税 | - | |||
割引債 (外国債を除く) |
償還差益 | 雑所得 | C | 税率は18.378%(復興税含む) 住民税は非課税 | |
売却益 | 非課税 | - |
2.平成28年から公社債等に対する課税方法が変更になります
公社債等の譲渡益の非課税と利子の源泉分離課税が廃止され「申告分離課税」となります。そのため上場株式等の譲渡損益や配当等と損益通算できるようになりますが、譲渡益が生じた場合は確定申告が必要になります。
ただし、源泉徴収ありの特定口座に預けた場合は株式等と同様に申告不要を選択することもできます。
来月は、特定口座のメリット・デメリットについて考えてみたいと思います。