2011年01月の税務ニュース
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平成23年度税制改正大綱
政府の平成23年度税制改正大綱が12月17日に発表されました。今回の改正は、所得や資産が多い個人へのしわ寄せが目立つ内容となっています。法人課税は実質的に軽減するが、その財源に充てる増税項目の重みも無視できません。
所得税関係(平成24年分以後の所得税〈住民税は平成25年分以後〉から適用)
(1)給与所得控除の見直し
- 給与所得控除の上限設定
- その年中の給与の収入金額が1,500万円を超える場合の給与所得控除額については、245万円の上限を設ける。
- 役員給与にかかる給与所得控除の見直し
- 役員等の職務に対する対価として支払を受けるもののうち、収入金額が2,000万円を超える場合は給与所得控除額を縮小
給与収入金額 | 改正前の 給与所得控除 |
改正後の 給与所得控除 |
改正後の 役員給与所得控除 |
1,500万円超 2,000万円以下 |
給与の収入金額×5%+170万円 | 245万円 | 245万円 |
---|---|---|---|
2,000万円超 2,500万円以下 |
245万-(給与収入額- 2,000万円)×12% |
||
2,500万円超 3,500万円以下 |
185万円 | ||
3,500万円超 4,000万円以下 |
185万-(給与収入額- 3,500万円)×12% |
||
4,000万円超 | 125万円 |
(2)成年扶養控除の対象の見直し
現行制度では、合計所得金額が38万円以下(給与収入で103万円以下)であれば、年齢を問わず1人38万円の所得控除を受けられるが、今回は次のように改正される。
成年扶養親族(扶養親族のうち満23歳以上70歳未満の者)については、基本的には控除はなくなるが、特定成年扶養親族(65歳以上70歳未満の者、障害者、介護保険法の要介護認定を受けている者等就労が困難な者、勤労学生等)に該当する者は現行どおり38万円の所得控除を受けることができる。
また、その年の合計所得金額が400万円以下である居住者の成年扶養親族については、負担経過措置として現行どおり38万円の所得控除を受けることができる。
相続税(平成23年4月1日以後の相続から適用)
相続税の課税ベースおよび税率の構造について見直しが行なわれる。相続税の基礎控除が現行の定額控除5,000万円+法定相続人1人につき1,000万円だったものが、定額控除3,000万円+法定相続人1人につき600万円へ引き下げられる。税率についても、3億円以上の相続財産についての税率が上がり、最高税率は55%まで引き上げられる。