2016年09月の税務ニュース
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証券税制 ~国債などの取扱いが変わりました~
平成25年度税制改正の「金融所得課税の一本化」により株式等及び公社債等について大きな改正がありました。その内容は、(1)株式等については「上場株式等」と「非上場株式等」との間での譲渡損益の相殺ができない、(2)公社債については「特定公社債等」と「一般公社債等」とに分類され、「特定公社債等」は上場株式等と同様の課税方式になるというものです。この改正は平成28年1月1日から適用されています。今回は改正後の公社債の取扱いについて紹介します。
1.特定公社債等とは
国債、地方債、外国国債、公募公社債などの一定の公社債および公募公社債投資信託(公募公社債投資信託の代表的なものとしてMMFやMRFがあります)などをいいます。
2.一般公社債等とは
特定公社債等以外のものをいいます。
3.特定公社債等に対する課税方法
【改正前】
(1)利子等に対しては20.315%(所得税・復興税15.315%及び個人住民税5%)の源泉分離課税
(2)譲渡損益は非課税
(3)償還差損益は一定の割引債等については源泉分離課税、それ以外のものについては総合課税(他の所得と合算し累進税率により税金を計算する方法)
【改正後】
(1)~(3)まですべてが20.315%の申告分離課税となり、上場株式等との損益通算や損失の繰越控除が可能となりました。
*特定口座の源泉徴収ありを選択している場合は申告不要制度を選択することができます。
4.一般公社債等に対する課税方法
【改正前】
特定公社債等の改正前と同じ取扱い
【改正後】
(1)利子等に対しては改正前と同じ20.315%の源泉分離課税
(2)譲渡損益及び(3)償還差損益は20.315%の申告分離課税
*一般公社債等の利子等については譲渡損益及び償還差損益と損益通算できません。
(4)一般公社債等のうち同族会社が発行した社債(少人数私募債など)の利子や償還差益は総合課税