2016年10月の税務ニュース
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空き家に係る譲渡所得の特別控除の特例
全国的に空き家が増加する傾向にあり、それにより地域住民の生活環境への悪影響が懸念されるなか、さまざまな措置が講じられています。昨年には「空き家対策特別措置法」が施行され、それにともない固定資産税の住宅用地特例(優遇措置)の見直しが行われ、空き家の状況によっては、土地の固定資産税が最大で4.2倍にも増額されることになりました。
また、平成28年度の税制改正では「空き家に係る譲渡所得の特別控除の特例」が創設されました。
空き家に係る譲渡所得の特別控除の特例
平成28年度の税制改正では「空き家に係る譲渡所得の特別控除の特例」が創設されました。
- 概要
相続人が相続した被相続人の居住用不動産を譲渡した場合には、一定の要件を満たすときはその譲渡益から3,000万円を控除することができます。 - 対象となる居住用不動産
(1)被相続人が亡くなるまで居住の用に供していた家屋で、昭和56年5月31日以前に建築されたもの。
*配偶者等が同居していた家屋や区分所有建築物であるマンションなどは対象外
(2)上記の家屋の敷地の用に供されていた土地等。 - 適用要件
次の要件を満たす場合に限り特別控除の特例が受けられます。
(1)相続開始の時から譲渡の時までに事業、貸付又は居住の用に供されていたことがないこと。
(2)譲渡の時において地震に対する安全性に係る規定又はこれに準ずる基準に適合するものであること(家屋を譲渡する場合)。
(3)譲渡の対価の額が1億円以下であること。 - 適用期間
譲渡期間は平成28年(2016年)4月1日から平成31年(2019年)12月31日までのもので、相続があった日以後3年を経過する日の属する年の12月31日までの間に譲渡したものであること。
この特例の対象となる最も古い相続は、平成25年1月2日相続開始分です。この場合の3年を経過する日は平成28年1月1日ですが、この特例の施行日は平成28年4月1日ですので、同年3月31日までの譲渡は対象とはなりません。 - その他
この特例の適用を受ける場合は、相続財産にかかる譲渡所得の課税の特例(相続税の取得費加算)の適用は受けられません。