2017年06月の税務ニュース
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セルフメディケーション税制の創設について
セルフメディケーション税制(特定一般用医薬品等購入費を支払った場合の医療費控除の特例)とは、居住者が平成29年1月1日から平成33年12月31日までの間に、自身や生計一親族が服用する特定一般用医薬品等(いわゆるスイッチOTC薬)を購入した場合で、自身が健康増進や疾病予防を行っているときは、確定申告を行って一定の金額を所得から控除できる制度です。
対象となる医薬品
厚生労働省のWebサイトに掲載されている医薬品(4/18現在、1622品目)が対象となります。
なお、対象製品の多くに右のような共通認識マークが入っています。
医療費控除との関係
このセルフメディケーション税制による医療費控除と従来の医療費控除はどちらか一方のみ選択でき、同一年で両方同時に適用を受けることはできません。
実際の計算では、セルフメディケーション税制の対象となる特定一般用医薬品等を含めた医療費の合計額から計算した従来の医療費控除額と、特定一般用医薬品等だけで計算したセルフメディケーション税制による医療費控除額とを両方計算して、有利な方を選択することになります。
所得控除額の計算
所得控除額 = 特定一般用医薬品等購入費(88,000円を限度)- 12,000円
セルフメディケーション税制 | 従来の医療費控除 | |
上限 | 88,000円 | 2,000,000円 |
下限 | 12,000円 | 課税標準×5%と100,000円の少ない方 |
セルフメディケーション税制をうけるための条件について
セルフメディケーション税制を適用するには「自身が健康増進や疾病予防を行っていること」という要件があります。具体的には、確定申告をする人が健康診断や人間ドック、がん検診、予防接種(インフルエンザなど)などを受けたことを証明する書類を添付する必要があります。
しかし、「健康診断」や「人間ドック」については、協会けんぽや市町村国保などの保険者や事業主が実施する健康診査に限られ、任意で全額自己負担で受けた健康診査は含まれませんので、ご注意ください。
なお、これらの健康増進や疾病予防の取組を行った証明として、次の項目が記載された書類を添付する必要があります。
- 居住者の氏名
- 居住者が取組を行った年
- 居住者が行った取組に係る事業を行った保険者,事業者若しくは市町村(特別区を含みます。)の名称又は取組に係る診察を行った医療機関の名称若しくは医師の氏名
従来の医療費控除では対象とならなかった健康診断(病気が見つからなかった場合)の結果通知書や予防接種の明細や領収書も捨てずに保管しておく必要がありそうです。なお、健康診断等の結果通知表は、写しでの提出が可能であり、健診結果部分は必要ありません。したがって、結果通知表の健診結果部分を黒塗りなどした写しでも差し支えありません。