2018年07月の税務ニュース
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雑損控除について
先月18日に起きた大阪北部地震、先日の豪雨により、改めて災害時の対応について考えておかなければならないと強く思いました。さて今回のような災害によって住宅や家財に被害を受けられた場合には、税金面での救済措置として所得税には“雑損控除”という制度がありますので、ご紹介します。
【雑損控除の概要】
災害などにより資産について損害を受けた場合やこれらに関連してやむを得ない支出をした場合に一定の金額の所得控除を受けることができます。
【雑損控除の対象となる資産】
本人及び本人と生計を一にする配偶者やその他の親族が保有する自宅や家財など生活に通常必要な資産に限られます。
*趣味、娯楽、保養などの目的で所有する別荘やゴルフ会員権などは対象になりません。
*生活に通常必要な資産であっても、1個または1組の価額が30万円を超える貴金属、書画、骨とうなどは対象外です。
【雑損控除の対象となる損害】
雑損控除を受けることが出来る損害の原因は次のものに限られます。
(1)震災、風水害、冷害、雪害、落雷などの自然現象の異変による災害
(2)火災、鉱害、火薬類の爆発などの人為による異常な災害
(3)害虫、害獣などの生物による異常な災害(シロアリ駆除など)
(4)盗難、横領(警察への被害届が必要)
【雑損控除の金額】
次の二つのうちいずれか多い方の金額を控除できます。
(1)(損失の金額)-(総所得金額等)× 10%
(2)(損失の金額のうち災害関連支出の金額)- 5万円
*損失額が大きくその年の所得金額から控除しきれない場合には、翌年以後3年間繰り越すことが出来ます。
*災害関連支出とは損壊した住宅や家財などの取壊し費用や除去費用、原状回復費用などを言います。
【雑損控除を受けるための手続き】
確定申告書に雑損控除に関する事項を記載し、災害等のために支出した金額の領収証などを添付または提示しなければなりません。
*添付要件ではありませんが、り災証明書や被災証明書を取得しておくと良いでしょう。
災害にあった年の所得金額の合計額が1,000万円以下の人の場合には、雑損控除とは別に災害減免法による所得税の軽減免除という制度があります。どちらか有利な方法を選ぶことができます。次号では軽減免除の制度についてご説明します。