2021年11月の税務ニュース
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損害賠償金の税務
事業を行っていると争い事などの当事者になってしまうことがあります。今回は、損害賠償金の税務上の取り扱いについてご紹介します。
支払った時
法人の役員または従業員が他人に与えた損害について、賠償金を支出した場合には、役員や使用人の行為の形態により次のように取り扱われます。
・損害賠償金の対象となった行為等が、業務の遂行に関連するものであり、かつ、故意または重度の過失に基づかないものである場合には、その支出した損害賠償金の額は給与以外の損金として処理します。
・法人の業務の遂行に関連するものであるが、故意または重度の過失に基づくものである場合、または、法人の業務の遂行に関連しないものである場合に、賠償金として法人が支払った金額は当該役員または従業員に対する貸付金として処理します。
賠償金の損金計上は、原則賠償金の確定の日付で行います。特例として損害賠償金として申し出た金額をその日に未払計上できます。この場合、保険金等により補填される部分の金額は、未払計上できません。
受け取った時
損害賠償金を受け取った時は、収入として処理します。消費税の扱いについては、心身又は資産に対して加えられた損害の発生に伴って受ける損害賠償金は、資産の譲渡の対価として支払われるものではなく、消費税の課税対象となりません(不課税)。
ただし、その損害賠償金が資産の譲渡等の対価に当たるかどうかは、その名称によって判定するのではなく、実質の内容によって判定すべきものとされています。
例えば、下記のような損害賠償金は、その実態からみて資産の譲渡又は貸し付けの対価に当たり、消費税の課税の対象となります。
1.損害を受けた棚卸資産等が相手側に引き渡される場合において、その資産がそのまま
又は軽微な修理を加えることにより使用することができる場合に受け取る損害賠償金。
2.特許権や商標権などの無体財産権の侵害を受けた場合に受け取る損害賠償金。
3.店舗及び事務所の明け渡しが期限より遅れたために受け取る賃貸料に相当する損害賠償金。