2023年12月の税務ニュース
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クレジットカードによる支払いとインボイス制度
事業の経費についても、クレジットカードでの支払いが増えていると思います。今月は、インボイス制度上での、クレジットカードを利用した場合についてご説明致します。
1.クレジットカードでの支払
クレジットカード会社が利用者に交付する請求明細書等は、カード利用者である事業者に対して課税資産の譲渡等を行った他の事業者(カード加盟店)が作成・交付する書類ではなく、当該他の事業者(カード加盟店)の氏名又は名称及び登録番号が記載された書類にも該当しないため、適格請求書等に該当しません。
2.クレジットカード払いで仕入税額控除を受けるためには
仕入税額控除の適用を受けるためには、課税資産の譲渡等を行った他の事業者(カード加盟店)から受領した適格請求書等を保存することが必要です。ただし、少額特例の対象となる取引や、公共交通機関特例、出張旅費等特例など、インボイス保存不要で仕入税額控除が可能となる特例の対象となる取引については、クレジットカード利用明細書に基づいて仕入税額控除に係る処理を行ったとしても問題ありません。
クレジットカードの年会費など、クレジットカード会社への支払いについては、クレジットカード会社が発行する請求明細書(利用代金明細書等)がインボイスの条件を満たしていれば、仕入税額控除の適用を受けることが出来ます。
3.ETC料金
高速道路料金をクレジットカード支払いにされている方が多いと思います。その際に、クレジットカードを使ったETCの利用には、取引の証明として「利用証明書(簡易インボイス)」を保存する必要があります。
そのため、高速道路の利用について、ETCクレジットカードで精算を行った場合に、支払った料金に係る仕入税額控除の適用を受けるには、原則、高速道路会社が運営するホームページより(ETC利用照会サービス)通行料金確定後、適格簡易請求書の記載事項に係る電磁的記録(以下、「利用証明書」)をダウンロードし保存する必要があります。
高速道路の利用が多頻度にわたるなどの事情により、全ての高速道路の利用に係る利用証明書の保存が困難な時は、クレジットカード会社から受領する利用明細書(個々の高速道路の利用に係る内容が判明するものに限ります。また、取引年月日や取引の内容、課税資産の譲渡等に係る対価の額が分かる利用明細データ等を含む)と、利用した高速道路会社及び地方道路公社などの任意の一取引(複数の高速道路会社等の利用がある場合、高速道路会社等ごとに任意の一取引)に係る利用証明書を1回のみダウンロードし保存することで、仕入税額控除の適用を受けることが出来ます。